多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、若い女性によくみられます。卵巣で通常より多くの男性ホルモンが分泌されることによって、卵胞の成熟に時間がかかり、排卵しにくくなる疾患です。それにより生殖機能障害と糖代謝異常を伴いやすいのも特徴です。
自覚症状
①月経周期が35日以上
②男性化(にきび・低音声・多毛)
③肥満
④不妊 が多く見られます。
診断基準
①月経異常
②血中男性ホルモン値またはLHの基礎値が高値で、FSHが正常値
③多嚢胞性卵巣(超音波で卵巣を診ると10個以上の同じような大きさの未熟卵胞がたくさんできており、卵巣の外側に1列に並んでいる。ネックレスサインと呼ばれる。)
また、PCOSの方はインスリン血症や脂質異常を伴いやすく、糖尿病、心血管疾患、脂肪肝を発症するリスクが高くなります。その他、月経周期が乱れやすく子宮内膜が異常に増殖することにより、子宮内膜増殖症や子宮がんのリスクが高くなることもあります。
西洋医学による治療
治療法は妊娠希望の有無によって異なります。
妊娠を希望されない場合は、ホルモン剤を用いて定期的に出血を起こします。
妊娠を希望する場合は、排卵誘発剤(内服または注射)で排卵を促します。排卵誘発剤が効きにくい方は腹腔鏡手術で卵巣の膜に穴を開ける治療で排卵をさせることもあります。
また、肥満がある場合には減量をすすめます。
中医学からみたPCOS
PCOSは中医学でみると腎※・肝※・脾※と関係があります。その本質は腎虚であり、肝腎の虚による気血不足・月経不順、脾の虚による痰湿内停・血行不良により、排卵障害や不妊の根本の原因になっていると考えます。そのため、中医学ではPCOSの根本にある腎虚をケアしながら、お一人おひとりのタイプ別にアプローチしていきます。例えば、以下のような漢方薬がよく使われます。
腎虚→動物性生薬・六味丸・八味丸など
脾虚痰湿→当帰芍薬散・六君子湯など
気滞瘀血→桂枝茯苓丸・芎帰調血飲など
※腎:生殖や成長と司り、子宮や卵巣の力、ホルモンバランスに最も深く関係します。
※肝:気血の巡りをコントロールし、血流量を調節します。自律神経機能と関係があり、正常な月経を整える役割をしています。
※脾:気血を作り出す働きと水分代謝と関係があります。脾の働きが弱いと代謝が落ち、十分な気血が作られないため、月経不順になることもあります。
鍼灸では李式手技を取り入れ、間使・三陰交などのツボの刺激、関元・水道などのツボに時間をかけたお灸の施術がよく行われます。
漢方と鍼灸を併用することで、より高い効果が期待できます。また、症状改善後は体質改善に向けたアプローチを行うことにより、PCOSにおいて起こりやすい合併症のリスクの緩和も期待できます。
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