河南省で発展した李家の鍼灸
李式鍼灸とは、中国 河南省の南陽で発展した鍼灸技術です。
李家の先祖達は、薬も少なく経済的にも貧しいこの地域で医療を行っておりました。不調に対してどうしても「鍼だけで治療するしかない」という環境の中、鍼灸のレベル向上に努力していました。李式鍼灸に携わる者は皆、鍼灸医術に優れており、その名は河南省の南陽で、とても有名なものでした。
【世珍堂】の名前は、院長である李揚の祖父、李世珍(リ セイチン)氏の名前からとりました。
李世珍氏は中国内外で40以上の学術論文を発表し、著書も多くあります。生前は日本においても交流があり、講演会・講習会が行われました。
李式鍼灸は現在まで6代にわたり継承されています。世珍堂では6代目である院長 李揚の師事のもと、鍼灸師が李式鍼灸を展開しています。
1.厳格な弁証論治と少数穴
→李式鍼灸では常に弁証論治した上で鍼灸処方します。1つの症状に対して2~4個のツボで配合し(ツボを組み合わせること)、李式独自の手技を加えて施術を行います。
例① 行気活血処方:間使(瀉法)+三陰交(瀉法)→気滞瘀血の諸症に用いる
例② 補益心脾処方:神門(補法)+三陰交(補法)→心脾両虚の諸症に用いる
例③ 温補腎陽処方:関元(お灸)+復溜・腎兪(補法)→腎虚の諸症に用いる
このように【少ないツボで処方配合し、ツボの持つ効果や可能性を鍼で最大化すること】、これは代々大切にしている李式鍼灸の特長でもあります。
2.鍼薬同効
→経穴には薬剤と同様に、補気・健脾・行気・活血・養血・補腎・利湿などの作用があります。
例① 合谷(補法)+三陰交(補法)→十全大補湯に類似した効果
例② 合谷(補法)+足三里(補法)→補中益気湯に類似した効果
世珍堂では、漢方薬も鍼灸治療もそれぞれの代替としてではなく、併用することを推奨しています。それぞれの良いところを互いに引き出すことによる相乗効果が期待できるためです。
3.李式鍼灸独自の手技
経穴の双方向性(同じツボでも手技によって異なる効果が得られる)を李式の捻転補瀉手技によって調整し、必要に応じてお灸を加え、体質・症状に合わせ最適な施術を行います。
例① 三陰交(補法)→健脾・補血・養血
三陰交(瀉法)→活血袪瘀
例② 三陰交(補法)+合谷(補法)→気血双補
三陰交(瀉法)+合谷(補法)→補気活血
このように、同じツボでも手技の違いで効き目が全く違ったものになります。
また、刺激量にも気を配ります。誰もが体質や症状が異なるように、適切な補・瀉の量も人によって異なるためです。
世珍堂では体質・目的に応じたオーダーメイドの選穴 × 李式鍼灸独自の手技の調整により、お一人おひとりに合わせた最適な施術を行います。
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