黄体機能不全とは
成熟卵胞から卵子が排出されることを排卵といいます。排卵後の卵胞は黄体に変化し、この黄体から黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌されます。
プロゲステロンは受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を厚くする作用の他、着床後の妊娠の維持にも関わる重要なホルモンです。
排卵後の基礎体温は高温相となるため、低温相より0.3~0.5℃上昇し12~14日くらい維持されますが、これもプロゲステロンの働きによるものです。
この黄体からのホルモンの分泌がなんらかの原因で正常に働かなくなり、分泌量の低下や分泌期間の短縮が起こる状態を、黄体機能不全といいます。
原因
・卵胞の発育不全(卵胞刺激ホルモンの分泌低下)
・黄体形成ホルモンの分泌低下
・高プロラクチン血症
・甲状腺機能異常
などが原因として考えられています。
自覚症状
・排卵後の高温期が短い
・低温期と高温期の差が小さい
・生理不順
・不正出血
・着床障害
・くり返す流産
などがみられます。
不妊症のうち約10%は黄体機能不全によって起こるといわれています。
診断基準
①基礎体温による診断
・基礎体温の高温相が10日以内(正常は12~14日間)
・低温相と高温相の差が0.3℃以内
・高温相の陥落がみられる
②血中ホルモン濃度による診断
・高温期中期(排卵後5~9日)のP4値(プロゲステロン値)が10ng/mL未満
西洋医学での治療
妊娠希望がある場合
①黄体ホルモン補充療法:排卵後のタイミングから内服薬や注射剤で黄体ホルモンを投与します。
②黄体刺激療法:hCG注射の投与により黄体を刺激します。
妊娠希望がない場合
・生理周期をととのえるため、低用量ピルが用いられることもあります。
また、黄体機能不全の原因が高プロラクチン血症や甲状腺機能異常の場合は、その治療を優先します。
中医学からみた黄体機能不全
中医学では、黄体機能不全の原因は主に腎陽虚であり、その他、肝鬱気滞、陰虚火旺、瘀血などがあります。
腎陽虚
生殖能力を司る腎の熱を生む力が低下した状態です。
月経が遅れがち、月経量が少ない、月経周期が長い、無月経、基礎体温が全体的に低い、手足が冷える、腰が怠い、頻尿、むくみ、倦怠感 などの症状がよくみられます。
➡温陽補腎:八味地黄丸・牛車腎気丸などの他、動物性生薬
肝鬱気滞
自律神経系の活動を司る肝の働きが悪く、気の流れが滞っている状態です。
月経不順、月経前に胸が張る、イライラ、情緒不安定、脇腹の痛み、ゲップやガスが多い、不眠、基礎体温が全体的にギザギザ などの症状がよくみられます。
➡疎肝理気:逍遥散、柴胡疎肝湯など
陰虚火旺
体に必要な潤いが不足している状態です。
月経量が少ない、経血が濃く粘る、手足のほてり、のぼせ、口渇、寝汗、めまい、不眠、基礎体温が全体的に高い、生理周期が短い などの症状がよく見られます。
➡滋陰降火:知柏地黄丸、温清飲など
瘀血
血の巡りが滞った状態です。
月経痛が酷い、月経が不規則、経血が多い、血塊が多い、腰痛、肩こり、頭痛、子宮筋腫や子宮内膜症がある、基礎体温では低温期から高温期への移行がスムーズでない(3日以上かかる) などの症状がよく見られます。
➡活血化瘀:桂枝茯苓丸、桃核承気湯など
症状は単一ではなく複合している場合が多く、タイプ別にオーダーメイドの治療が必要です。
中医学では卵子発育不足の延長線に黄体機能不全があると考えているため、補腎薬で卵巣機能を高めつつ、気血の滞りや不足の改善に向けアプローチしていきます。
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